月の裏

 長谷部が日本号と付き合うことになった。 そんな話をへし切長谷部から明かされた宗三左文字はつまらなそうに溜息を吐いた。「貴方から食事に誘われるなんて何事かと思えば、そんな今更な話ですか」 へし切長谷部と日本号が親密なのは…

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履き違えの攻防戦

「俺は長谷部、お前のことが好きなんだ……その、多分なんだが、恋愛的な意味で」  同室者である日本号から「話がある」と声を掛けられた。 かつて出陣中にも関わらず一悶着起こしたことがあった日本号と長谷部だったが、今では誰が見…

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灼熱の炎は真の意

 何の前触れもなく、それは訪れた。いや、もしかしたら前兆はあったのかもしれない。兎に角突然のことだった。 どうやら俺は日本号が好きらしい。  好意を持っていることを自覚してから、自分は刀剣男士として顕現するずっと前から日…

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告白

「好きだ」  黒田の家で再会した槍に、告白された。 「へし切、好きだ」 今日も今日とて、その槍……日本号は俺に好意を伝えてくる。まるで朝の挨拶のように、顔を合わせれば「好きだ」「慕っている」と口にする。そんな槍に俺は圧倒…

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呪い呪われまじないのろい

 呪いとは。精神的な力によって災いを取り除いたり、逆に災いを起こしたりする行為と言われている。近年では災いや不幸を起こす行為ばかりを指すことで用いられることが多く、へし切長谷部を悩ませるのはそんな「呪い」だった。  西日…

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もしくは過去の己へ宛てた手紙

 拝啓、本丸で初めての年の瀬を迎える日本号へ   熱燗が恋しい頃だろうか。あんたなら酔うこともないが、口煩い奴がいるから飲み過ぎにだけは気をつけてほしい。 さて、今は演習場を周回している時期か。それとも初の連隊戦で四苦八…

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写真越しの秋の空

「今月の写真現像しました!」  この本丸の秋田藤四郎は写真が趣味だ。基より好奇心旺盛なこの短刀は、顕現間もなく主の持っていたカメラに興味を示した。そうして目に映る風景を始め、自分を取り巻く物事を写真に撮っていく内に、月終…

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一歩先の悩みごと

 日本号と話す時、長谷部は以下のことを実践している。 まず、日本号へ声を掛ける。内容はなんでもいい、思いつかないなら名前を呼ぶだけでも良い。 その次に、声掛けに反応した日本号へ視線を合わせる。 日本号もしっかり自分を見つ…

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